小規模企業景気動向調査
令和元年7月期調査
~3カ月連続の悪化となった小規模企業景況~
2019年9月2日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2019年7月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…3カ月連続の悪化となった小規模企業景況…◇
7月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の各項目に大きな動きはないものの、産業全体の業況DIが3カ月連続の悪化となった。消費税の駆け込み需要の兆候が徐々に出始めていることと、軽減税率の対象となる業種では対応に追われている状況が顕著になってきている。例年と比べると梅雨明けが遅く、天候不順と日照不足が続いたことや、梅雨明け後の急激な猛暑により野菜の価格高騰が小売業の景況感に影を落とした。一方で、洗濯業では、天候不順で需要が増加し、売上を伸ばしたとのコメントが目立った。
<製造業>◇…貿易摩擦問題等により、悪影響を受ける製造業…◇
製造業は先月から一転、全項目で改善となった。改善幅は全項目ともわずかであった。経営指導員からは、、衰退傾向の定番商品への依存から脱却し、新商品開発や新分野参入など果敢に挑戦する企業では、持ち直しの傾向が見られるとの報告があった。一方で、米中の貿易摩擦問題や韓国への輸出管理の問題により一部業種で発注が制限されたり、機械器具製造業でも部品を製造しているラインの停止を余儀なくされたりするなどの影響が出始めている。
<建設業> ◇…消費税の駆け込み需要が好調も、人手不足や資材高に懸念がのこる建設業…◇
建設業は、業況DIと採算DIで悪化が見られるものの、売上額DI、資金繰りDIは小幅な改善が見られた。経営指導員のコメントからは工事の規模感や完成時期を問わず、いよいよ消費税増税の駆け込み需要が動き出し受注は好調である。一方、人手不足が解消されないところに、下旬からの猛暑の影響で、現場作業員の体調管理が必要となり作業効率の低下が見込まれているほか、セメントやコンクリート用砂・砕石等の資材の価格が高止まりしており、今後も採算の悪化が懸念される。
<小売業> ◇…軽減税率やキャッシュレスに関心の高さが窺えるも、対応に差が見られる小売業…◇
小売業は、採算DIこそわずかに改善するも、他3DIは悪化。特に売上額DIと資金繰りDIは小幅に悪化した。経営指導員からは、急激な猛暑により食料品小売業では、清涼飲料水や冷菓の売れ行きが良いとのコメントがある。一方で、青果小売業では梅雨が長引いたことで野菜の仕入価格を中心に高騰が見られるとのコメントがあった。消費税増税に対応した軽減税率対応レジやキャッシュレス決済システムの導入について、事業者の関心は高さは窺えるものの、機材の不足やシステム改修に時間がかかり、10月からの稼働に間に合わないとのコメントがあるほか、既に導入を見送る事業者が見られており、対応に格差が見られる。
<サービス業> ◇…長雨の影響が好転・悪化双方に影響を与えるサービス業…◇
サービス業は、ほぼ横ばいであるが、先月から一転全項目が改善となった。経営指導員からは洗濯・クリーニング業を中心に日照不足による需要が増加し、売上増につながっているとのコメントが目立った。一方、飲食関連では、例年と比べると梅雨明けが遅く、梅雨が明けても週末の天候が良くなかったことから大幅に売上を落としているとのコメントや観光関連では、日韓関係悪化により観光客が激減しているとの報告があった。
全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課