小規模企業景気動向調査
令和元年9月期調査
~消費増税前の駆け込み需要で好調も、先行き不透明な小規模企業景況~
2019年11月5日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2019年9月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…消費増税前の駆け込み需要で好調も、先行き不透明な小規模企業景況…◇
9月期の小規模企業景気動向調査は、全DIで改善となったが、業況DI、採算DI、資金繰りDIが小幅、売上額DIが5.5ptと大幅に改善した。消費税増税直前の駆け込み需要で、建設業や小売業の売上が伸びたとのコメントが見られたが、その中でも耐久消費財を取り扱う電気機械器具小売業が大きく牽引する結果となった。10月からの軽減税率の対象外とはならない生活必需品においても駆け込み需要が発生するも、前回ほどの売上は見られず、却って、増税後の需要の動向に不安しかないとの声が聞かれた。
<製造業>◇…駆け込み需要で売上が大幅改善も、今後に不安が残る製造業…◇
製造業は全業種中で唯一業況DIが悪化となったが、悪化幅はごくわずかであった。消費税増税直前の駆け込み需要で、食料品製造業を中心に売上が伸びたことが要因で、売上額DIは5.0ptと大幅改善した。一方、繊維・機械器具製造業では需要が落ち込んでいる。半導体や工作機械製造業を中心に最低賃金引き上げ、生産性向上や人手不足など改善しなければいけない事案が山積みで、事業者の頭を悩ませている。
<建設業> ◇…駆け込み需要で好調の中、災害復旧工事に追われる建設業…◇
建設業は、業況DIを除く3DIが改善したが、他3業種と比べると改善幅は小幅であった。先月同様、消費税増税前の駆け込み需要で、一部業種に受注が好調であった。地域によってはリフォーム工事も活発に行われており、下請け事業者も多忙との声が聞かれた。9月上旬に発生した台風第15号で被害を受けた商工会の経営指導員からは、総合工事業、職別工事業、設備工事業を問わず受注が発生しており、その対応に追われているものの、資材発注や外注費の支出も多く、資金繰りが懸念されているとの報告があった。
<小売業> ◇…駆け込み需要の影響で、2か月連続して大幅に改善した小売業…◇
小売業は、先月に引き続き全DIが改善した。改善幅は、売上額DIは12.7pt、業況DIは10.9pt、採算DIは9.2ptとなった。10月からの消費税増税の駆け込み需要で、軽減税率の対象とならない白物家電や暖房器具、スノータイヤなどの自動車用品で売上が伸びた。一方で、台風第15号の他、9月は週末の天候が悪く、行楽シーズン向けの需要はあまり振るわなかった。
<サービス業> ◇…軽減税率の対象外となる飲食業や理美容業で駆け込み需要が発生したサービス業…◇
サービス業は、小売業と並んで全DIが改善した。改善幅は全て小幅となった。飲食業では、消費税増税前の駆け込み消費が若干見られるなど、顧客の増加に繋がったとの声があった。また、理美容業関連では、軽減税率の対象外となることから9月中に来店する客が増え、売上が伸びた。一方で、宿泊・飲食関連のサービス業においては、週末の天候不順により、集客が大幅に減少し、資金繰りに影響が支障が出ているとの声があった。消費税増税の価格転嫁が不十分な事業者においては、10月からの採算悪化が懸念されるとの報告があった。
全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課