小規模企業景気動向調査
令和2年1月期調査
~需要の停滞や新型コロナウイルスの影響で、落ち込み傾向が続く小規模企業景況~
2020年2月27日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2020年1月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> 需要の停滞や新型コロナウイルスの影響で、落ち込み傾向が続く小規模企業景況
1月期の小規模企業景気動向調査は、全DIが悪化し、業況DIは消費税率8%引き上げ直後や熊本地震直後を4pt以上下回る水準まで落ち込んだ。新年を迎えたが消費増税の影響が色濃く残り、また、暖冬が除雪・レジャー・冬物衣料・暖房器具・灯油等の需要に負の影響をもたらした。後半には、中国発の新型コロナウイルスにより、観光関連産業がキャンセル等の、製造業は部品・原材料の供給不足の影響を受けるなど、全産業ともに業況に明るさの見えないコメントが目立った。
<製造業> 米中貿易摩が和らぐも、新型コロナウイルスによる輸入停滞の影響を受ける製造業
製造業においては先月に引き続き全DIで悪化となった。悪化幅は先月よりも拡がり、業況DIは小幅、売上額DIは10ポイントを超える悪化、採算DIは不変、資金繰りDIはわずかであった。経営指導員のコメントからは、米中貿易摩擦も改善の兆しが見られそれに伴い景気も好転の兆しがあるとの声がある一方で、中国本土の新型コロナウイルスの影響で業種を問わず輸出入が滞っているとの声や、原材料の調達に不便を強いられているとの声が目立った。
<建設業> 人手不足や暖冬の影響により、売上低下が目立つ建設業
建設業では、他業種と同様全DIで悪化が見られた。特に売上額DIが10ポイント近く大幅に悪化するなど、例年に無い悪化幅となった。例年どおり公共事業で売り上げを確保できている、また、昨秋の台風の復旧工事の需要がある地域では、工事の長期化により安定した収益確保が見込めるとのコメントがあった。一方で、人手不足により売上向上を図れないとの声が大きい。また、暖冬の影響で除雪需要が少なく、除雪事業者は更に苦境に陥り、凍結による水道管破損も少ないため、水道配管設備業者では売上が減少しているとの声が寄せられた。
<小売業> 消費の停滞が続き、消費税増税の影響から未だ回復できない小売業
小売業は、先月に引き続き、全DIが悪化となった。売上額DIが10pt近くの悪化となった。キャッシュレス決済の導入やプレミアム付き商品券へ対応のできている事業者については売上を維持しているものの、消費税の駆け込み需要に対する反動減から回復できていないとの声や年末年始の需要さえ、近隣の大型店に奪われている声が寄せられた。更には新型肺炎への影響で薬局等にマスクや消毒液に特需が発生しているが、一時的な動きに限られ、欠品により顧客の需要に対応できないでいる。
<サービス業> 暖冬や新型コロナウイルスの影響により、売上が低下したサービス業
サービス業は、先月から一転、全DIが悪化した。悪化幅は、売上額DIは大幅、業況DIは小幅に悪化した。理容業では成人式など時期的に繁忙期であったため、着付けサービスを行っている店舗を中心に売上を伸ばしている。一方で、暖冬で降雪が無く、1月末の時点でさえスキー場が営業できず、スキーレンタル業や宿泊業に多大な影響が出ているほか、旅館関係のサービス業ではインフルエンザの流行などによる外出の自粛や新型肺炎の影響で外国人客のキャンセルがあり、売上の減少が見られるとのコメントがあった。
全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課